「感情を手放す」ってどういうこと?|忘れようとしなくていい、ほんとうの手放し方
「もうこの気持ち、手放したいな」と思う瞬間がある方、
そして、手放したつもりなのに、また同じ感情が戻ってくるという方、
こんにちは。
最近よく耳にする「手放す」という言葉。
「過去を手放しましょう」
「人間関係を手放しましょう」
「いらないものを手放しましょう」
なんとなく「手放す = 断捨離する」のようなイメージを持っている方も多いかもしれません。
以前私は、そんな風なイメージで感情を手放そうとして、逆に苦しくなってしまったことがありました。
実は、手放しって、
私たちが思っているのとはちょっと違う形で起こるものなんですよね。
今回の記事では、よくある誤解をやさしくほどきながら、
自己対話や自己受容という視点から、
「本当の意味での手放し」を一緒に紐解いていきます。
もし今、なかなか感情を手放せないと感じているなら、この記事が、少しでもヒントになれば嬉しいです。
「手放す」とは?|言葉の意味とよくある誤解
「手放す」という言葉は、
日常では「不用品を手放す」「家を手放す」などという表現で使いますよね。
捨てたり、何かから距離を置いたり、売ったり。
これまで大切にしていたものを、ちょっと惜しいけど、
自分から切り離すようなイメージ。
私も以前は、そんな意味だと理解していました。
「忘れようとすること=手放し」ではなかった
数年前から、
「感情を手放す」「過去を手放す」「人間関係を手放す」
そんな言葉を耳にするようになりました。
最初は、日常で使う「手放す」と同じ意味だと思っていたんです。
たとえば、しんどい感情(不安、怒り、後悔など)が湧いたとき。
記憶と一緒にネガティブな気持ちが出てきたとき。
「もう気にしないようにしよう」 「忘れよう」 「考えないようにしよう」——
そうやって、頭で感情を抑えたり、距離を取ったりして、 “手放したつもり”になっていました。
でも不思議なことに、そうした感情や記憶って、ふとした瞬間にまた戻ってくるんですよね。
似たような出来事をきっかけに、「あれ、また同じ感情が出てきたぞ…」って。
それでもまた、「見なかったことにしよう」とフタをして、前向きに考えたりなんかして、なんとか忘れようとしていました。
でも、あるとき気づいたんです。
「手放す = 無理に自分から切り離すこと」じゃなかったんだ、って。
本当の“手放し”って、実はまったく別の方向にあったんですね。
「感情的な手放し」とは?受け入れるという意外な方法
「手放す=自分から切り離す」を実践していた私ですが、
しんどさが軽くなる気配はなかなかない。
そのうち「手放すって結局どういうことなんだろう?」と、わからなくなっていました。
そんな時、たまたま受けたセッションの中で「感情的な手放し」という言葉が出て。
思い切って聞いてみたんです。
「手放しって、いまいち良く分からないんですが、どういうことなんでしょう?」
その時に、教えていただいたことが衝撃でした。
「感情を手放すっていうのは、受け入れることですよ。」
え、ま、真逆!?!?!
そうなんです。
感情を追い払うのではなく、そのままの気持ちを受け入れること。
それが、ほんとうの意味での「感情的な手放し」だったんです。
あれから私も、少しずつ経験を重ねていく中で、今はこう感じています。
まずは、気づいて、そこにあることを認めてあげること。
それが、感情の手放しの第一歩。
そして、そのまま受け入れてあげる。
「忘れなきゃ」と力んでいた時ほど、逆に手放せず、
「そこにあってもいい」と思った時に、自然と心がやわらかくなったんですね。
🌱 感情を無理に自分から切り離すことではなく、気づいて認めてあげることが第一歩
なぜ感情を手放せないのか?何度も戻ってくる理由
以前の私のように、自分から切り離そうとすると、なぜ逆に手放せないのでしょうか?
ここからは、感情が何度もよみがえる“ほんとうの理由”について、少し深く見ていきます。
感情は「本音」のサイン|手放す前に気づいてほしいこと
私は、感情に「良い」「悪い」はなくて、すべてが「心の奥からのサイン」だと思っています。
それは心の奥底にある「本音」を知らせてくれるもの。
たとえば、
「ほんとうの気持ち」
「叶えたかった願い」
「大切にしていた想い」
でもそのサインを、頭で抑えこんだり、「なかったこと」にしようとすると、何が起こるでしょうか?
その“本音”に、あなた自身が気づけなくなってしまうんですよね。
たとえば、
「こうしてほしかったな」
「本当はこうしたかったな」
「あのとき、こう言いたかった」
そんなふうに、満たされなかった想いや願いが残ったままだと、
それは心の中の“未完了”として、心の中にひっそりと残り続けます。
執着の正体は「満たされなかった願い」かもしれない
そしてやがて、未完了の願いは、「執着」というかたちであらわれる。
ここでの執着は、決して悪者ではありません。
逆に考えるとこれも、
執着の向こう側に「あなたの本当の願いが、まだそこにあるよ」というサイン。
願いが叶わなかったとき、声が届かなかったとき、気持ちを出せなかったとき。
それが、執着として残ることがあります。
そして多くの場合、私たちはその執着にさえ気づかないまま、同じ感情を繰り返してしまうのです。
未完了の願いに気づくと、こころがやわらいでいく
では、その“未完了”の願いや”執着”が、実際にどのように現れてくるのか、もう少し深く見てみましょう。
それは、ふとしたときに湧いてくる感情や記憶、心のモヤモヤとして、あなたのもとに戻ってきます。
そんな感情の裏には、まだあなたに気づかれていない“本当の願い”が隠れているのかもしれません。
その願いは、あなたの中でずっと、「気づいて」「受けとめて」とサインを送り続けています。
だからこそ、何度忘れようとしても、また思い出したり、何度切り離そうとしても、また心が揺れる。
それは、あなたがダメだからではありませんよ〜。
ただ、大切な“想い”が、まだ未完了なまま心の奥に残っているだけ🌱
誰もが何かしら抱えて生きています。
私もそうです。
だからこそ、感情が戻ってきたときには、こんなふうに問いかけてみてください。
〈 問いかけリスト 〉
- 私は、ほんとうは何を願っていたんだろう?
- あのとき、どうしてほしかったんだろう?
- 何が叶っていたら、私は満たされたんだろう?
そして、その気持ちに気づいてあげたら、
やさしく「そうだったね」と認めてあげてください。
それだけで、ふわっと力が抜けて、心の奥に残っていた“執着”がやわらいでいくかもしれません。
📚 感情を手放しながら、本音に気づく自己対話のヒントはこちら
🌱 感情の奥には、満たされなかった“願い”が眠っていることがある
🌱 「本当はどうしたかった?」と自分に問いかけてみる
本当の手放しが起きるとき|受け入れることが鍵になる
では、本当の手放しが起きるとき、心の中ではどんなプロセスが起きているのでしょうか?
シンプルに整理してみますね。
まずは、湧いてきた感情にちゃんと気づいて、 「今こんな気持ちがあるんだな」と、自分で認めてあげること。
そして、その感情を否定せずに、 「そりゃそう感じるよね」と、寄り添ってあげること。
それはつまり、自分に寄り添いながら、対話をすることなんですよね。
やがて、その感情の奥にある「本当の願い」や「叶えたかったこと」に気づけたとき、
その想いごと、まるっと認めてあげられたとき、
心の奥にあった執着が、自然とほぐれていきます🌱
しばらくして、同じことを思い出しても、心が揺れなくなった自分に気づく。
それが、ほんとうの「手放し」。
そのうち、思い出すことすら自然と少なくなっていったり、味わい深い思い出に変わることもあるかもしれません。
こうしてひとつずつ、感情に気づいて、対話して、受け入れていく——
そんな小さなプロセスの積み重ねが、
“そのままの自分”を受け入れていく自己受容の道のりにも、つながっていくのだと思います。
📚 “そのままの自分”を受け入れていく自己対話と自己受容のヒント
🌱 本当の手放しとは、受け入れて、自分の中で昇華すること。その結果として、自然と思い出しても、心の波が立たなくなること。
🌱 受け入れることは、頭で良い悪いの判断をせず、そのままを見つめること
まとめ|ゆっくり、やさしく手放しましょ
手放すって、何かを抹消することでも、無理に前に進むことでもなく、
自分の心に誠実に寄り添うことで”自然と起こってくるもの”なんじゃないかなと思います。
忘れようとしなくていい。
焦らなくていい。
心はいつでも、自分を癒す力を持っています。
そして感情は、いつもあなたに「本当の気持ち」を教えてくれる存在です。
ほんの少し時間をとって、心に手を当ててみる。
それだけでも、手放しの始まりになるのかもしれません🌱
今回もお読みいただきありがとうございました。
また次回の記事でお会いしましょう 🍵
〈 今回の記事のまとめ 〉
- 「手放す=切り離すこと」だと思っていないか振り返ってみる
- 戻ってくる感情は、満たされなかった“本当の願い”のサインかもしれない
- 感情を忘れようとせず、まず「そこにあること」を認めてみる
- 「本当はどうしてほしかった?」と、自分に問いかけてみる
- 感情にそっと寄り添うと、自然と執着がゆるんでくる
- 本当の手放しは、“そのままを受け入れたとき”に起こる
🌱 自身の「性質・傾向」を知って、
見えなくなってしまった「本音」を一緒に探す、自己対話ナビゲーション型セッション
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